カバンを間違えた少女

7月の旅行で、アルゼンチンから出国する時、セキュリティチェックの行列を待っていた。すぐ後ろに並んだ家族連れの中に10歳くらいの少女がいた。アルゼンチン人に見える。ブロンドだけど、少し黒い毛も混じっている。家族は両親と兄弟が1人。そのとき私は自分のキャリーケースを、ハンドルを伸ばして床に置いておいたのだが、いつの間にか少女が持っている。少女は家族と話しながらT字型のハンドルをマイクスタンドのようにして、歌うまねをしたり、右へ倒したり、左へ倒したり、縮めたり、伸ばしたり、楽しそうに遊んでいる。ははん、これは、自分のと間違えているな、と思ったがあんまり楽しそうなので、声はかけず、見守ることにした。私の前の人が2メートルくらい進んだので、Don't forget your bag. This is mine. と笑顔で話しかけて、彼らのと思われる1メートル後方に放置されたキャリーケースを指差した。すると、家族全員大爆笑。ただ間違えただけではなくて、少女が楽しそうにしてたことを見てたので、なおさらおかしかったのだろう。 

彼女に遊ばせて正解だったと思う。すぐに間違えてますよと言っても面白くなかったと思う。家族が爆笑してたのをみて、嬉しくなった。少女が大人になって、この子はおっちょこちょいだったのよ、という家族の思い出話になれば嬉しい。 

あと、素敵なのは、こういうことがあったときに、アルゼンチンの人たちは、子供も大人も堂々と視線を合わせるということだ。その大笑いのとき、少女も父親も母親も各々3秒から5秒くらい、私と目を合わせて笑い合っていた。

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